自然栽培について
<前編>「毎年、1年生」農家が語る!自然栽培の実態
北海道札幌市で農薬・肥料に頼らない自然栽培を行う「当店直営農場自然ファームハレトケ」
書籍化、映画のヒットで有名となった「奇跡のリンゴ」木村秋則氏監修・自然栽培の仲間たち直営農場として、2015年秋にスタートしました。
そんな自然ファームハレトケのスタッフ3名が語る、
知られざる自然栽培の実態について聞きました。
~目次~
<前編>「毎年、1年生」農家が語る!自然栽培の実態
① 自然栽培との出会いは「あ、肥料なんてなくてもできるんだ。」
② 壮絶な1年目「全然できないじゃん。きっついなぁ・・・」
③ 自然栽培で変わった、虫や畑との向き合い方
④ 現在も続くチャレンジの日々。「毎年、1年生」
<後編>「美味しいに、こだわる」農家が語る!自然栽培の実態
①「うちの子がこんなに人参を食べている姿は見たことがないです。」
②ぜひ自然栽培の畑にきてください!
③安心安全は当たり前。美味しいにこだわる自然栽培
① 自然栽培との出会いは
「あ、肥料なんてなくてもできるんだ。」
<自然栽培の最初の印象>
「自然栽培」と聞くと、みなさんはどんなイメージを思い浮かべますか?
自然ファームハレトケスタッフにも、それぞれの最初の印象について聞きました!
●毛利:元々勤めていた会社の社長さんが木村秋則先生の塾の1期生で、偶然「自然栽培」というものを知りました。
僕が知った当時は今よりももっと、自然栽培をやられている方が少なくて。
流通もないし、他の栽培と味を比べることもできない。
なので最初は、本当に何もしない。ほったらかすってイメージでした。
そのイメージにそって、最初は自然栽培に挑戦しましたね。
●高桑:僕は当初国際協力のスタディツアーをきっかけに、タイで有機農業をしていました。
尊敬するタイ人の師匠が「福岡正信さんのわら一本の革命」という書籍が大好きで。
師匠に「なぜ、日本人で有機農業をしているのに、福岡正信さんを知らないんだ!」
といわれて、そこで初めて自然農法というものを知りましたね。
最初は「何もしないでできるんだったら、別にしなくていいじゃん」と。
わざわざ手間をかけて、農薬撒いて、耕して。それをしないで野菜ができるんだったら。
こんな楽な方法はないじゃないかって思ってました。
●山根:僕は「奇跡のリンゴ」の映画で自然栽培というものを知りましたね。
「あ、肥料なんてなくてもできるんだな。」
と思ったのが、最初の印象でした。
学校で植物のことを習った時は、
誰もが「水と、土と、お日様と、肥料」が必要だと教わっていたと思うんです。
それで肥料は必ず必要なものだと思っていたので。
「でも、そんなに美味しくないんだろうな・・・」とも正直最初は思っていましたね。
実際に自然栽培の作物を食べたこともなかったので。
△奇跡のリンゴ農家 木村秋則氏
② 壮絶な1年目
「全然できないじゃん。きっついなぁ・・・」
そんなイメージを持って挑んだ最初の自然栽培。
実際のところ、どうでしたか?
●山根:やりはじめて最初に思ったのが、
「全然できないじゃん!!」っていうことでした(笑)
「きっついなぁ・・・こんなのやだなぁ・・・」って。
僕は最初、りんご、お米、野菜の栽培を
9人のスタッフと共に始めました。
一番印象に残っているのは…キャベツですね。
…ほぼ全滅。
育っている途中に青虫がどんどん中に入って食べちゃってるから、中から腐っていくんです。
キャベツが腐った匂いって本当にすごくて…
すべて処分するのに畑の隅に穴をほったことを覚えています。とても辛かった。
それ以外にもあちこちの畑で、大きな失敗はたくさんあって。
いい思い出は正直一つもありません。
その年の売り上げは約10万円ほどだったと思います。
●毛利:僕も自然栽培だから、全く手をかけないってイメージで最初はつくったんですよ。
結果はまぁ、全然育たない。
とうもろこしは実が形にもならず。
トマトもちっちゃいのができましたね。
じゃがいもはなぜかできたりもして。
その当時は一般栽培もしていたときだったので、
比較するとやはり自然栽培って難しいんだなってかんじでした。
●高桑:
僕は木村先生の塾で最初の自然栽培を経験しました。
木村先生にくわの振り方から、トラクターの乗り方まで1から教えてもらいましたね。
最初の印象としては、「まあ、育たないなぁ」と。
タネはまいて、発芽はするけど成長がすぐに止まってしまう。
あと衝撃だったのは、クマが出たこととかですね。
「あともう少しで収穫だね!」といっていたとうもろこしが全部食べられてしまいました・・・
△自然栽培研修風景
③ 自然栽培で変わった、
虫や畑との向き合い方
そんな最初の苦難を経て、自然栽培の探求する日々。
その探求は実際、どのようなものなのでしょうか?
自然栽培農家さんの日々の思い、視点に迫ります!
<どんなところに気をつけて作物を育てていますか?>
●毛利:自然栽培では、より環境を原産国に近づける作業を意識したりしています。
例えば、ミニトマトでいえば、
苗を作って植えてから、収穫まで1〜2回くらいしか水をあげなかったり。
トマトの原産地は、南米のアンデスの高地。
きわめて雨の少ない地域ながら、清涼な気候であることも特徴です。
△ハレトケミニトマトの畑の様子
それに合わせて、水を切ったり、
ハウスの室温を調節したり。
トマトの様子を見ながら、環境を整えるお手伝いをしているんです。
木村先生も「大事なものは目に見えない」とよく仰っています。
病気が出たら、土の中に原因がある。
この中の目に見えないところの環境をいかに良くするかが大切ですね。
△農作業を行う毛利スタッフ
<畑ではどんな虫や動物を多く見かけますか?>
●山根:動物でいうと狐とかですかね。
虫でいえば、秋はコオロギをすごい見ます。
あとは、人参の葉っぱには、青虫とか。幼虫が葉っぱを食べちゃったりとか。
●高桑:そうですね。ようやく生えてきた双葉を切っちゃうヨトウムシとか。
カラスが来て、ミミズを食べに来たり。あとはネズミも。かぼちゃは食べる、さつまいもは食べる。どんどんかじっていきます(笑)
●毛利:去年はカエルも結構多かったですね。あと、クモも多かった!
どちらも作物に悪さはしないんですけど、単純にいっぱいいます。
僕が一般栽培をしていた時は、春先に土壌消毒しちゃうので。
虫とかは本当に少なかったです。
それに比べると、今の自然栽培の畑には、コオロギ、青虫やカエルなど、虫や動物がたくさんいると思います。
<虫や動物の対策、向き合い方について>
●山根:僕が管理している自然栽培の仲間たち直営りんご農場の【MIRACLE APPLE FARM】では、りんごの木についた虫はひたすら手でとる作業になります。一匹一匹、本当に地道な作業です。
△リンゴの木によく付く虫 <イラガ>
●毛利:作物の品種によってもつく虫が全然違いますよね。
例えば、野菜の中でも特にアブラナ科の野菜は、虫がつきやすいんです。
キャベツとか、ブロッコリーとか。
対策で言えば、※コンパニオンプランツをしたりもしますが。
例えば、トマトとバジルみたいな。野菜の間にハーブ類を植えると虫を防げたりします。
※互いに助け合って生育する、相性のよい植物同士を一緒に植えること
あとは対策というか、
あまりに虫がつきやすかったり、僕たちの畑の土地に合わないものはそもそも作りません。
●高桑:そうですね。基本的に私たちの畑では虫は放置しています。
それでどうしてもできない野菜は無理してやらないほうがいいんじゃないかなって思っているので。
そのためか、僕たちの畑の場合は、根菜が多かったりしますね。
いろんな野菜をつくってみたい気持ちはあるんですけど。
●毛利:野菜に虫がついている時、僕らもそれ見ると嫌だなって思う時はあります。
けれど、虫の中には益虫(えきちゅう)とか、害のない虫もいる。
そう考えると、「虫が来る環境の方が逆にいいのかな」とも思うんです。
私の場合は前職の一般栽培で、ハウスの中でも農薬をバンバンまいていたので。
自然栽培に出会ってからは、実際それをたべてもおいしくないし、人に勧められないなと思ったんですよね。
△畑にミミズを食べに来たカラスたち
<大豆(根粒菌)と自然栽培について>
自然栽培農家さんを訪れると、よく見かけるのがマメ科の植物。
このマメ科の植物を植える理由は、
一株抜けば現れる、根っこについた「たくさんの白い粒」
「根粒菌(こんりゅうきん)」の働きを栽培に利用しているからです。
根粒菌とは、「空気中の窒素を土中に取り込むことができる微生物」のこと。
マメ科の植物の根っこに白いコブを作り、その中で菌が暮らしています。
△こちらは、埼玉県「明石農園」さんで撮影した根粒菌
根粒菌は植物から糖分をもらい、
植物は根粒菌から窒素をもらう。
一般的な栽培なら、その栄養素を「肥料」で補いながら栽培をしますが、
自然栽培ではこの働きを生かして、大豆を植えて、畑の窒素分を保っている方が多くいらっしゃいます。
自然ファームハレトケの畑ではどのように根粒菌パワーを利用しているのでしょうか?
●山根:
他の自然栽培農家さんの場合は大豆を植えているところは多いですね。
けれどうちの畑は、大豆をそんなに植えてはいないんです。
もともと、土壌の性質として窒素が多いのかな?と思います。
●毛利:そうですね。大豆というよりは、
代わりに同じマメ科のクローバーとか。ソルゴとかは植えることがあります。
一旦マメ科の植物を育てて、すき込んで。
そうすると、土の質感が全然変わってくるんです。
クローバーもマメ科なので、根粒菌がついたりもしますよ。
●高桑:クローバーは大豆よりではあるんですけど、
成長した時に背丈がないので、畑のうねにも植えやすいんです。
最初は大豆を使わなきゃと思っていたんですけど、私たちの畑の場合、基本大豆では根粒菌がつきませんでした。
マメ科の中でもその土地に合うか、合わないか。違いがありますね。
△ハレトケで採れた大豆。
根粒菌は他の農園よりつきにくいものの、収穫物として美味しい大豆を栽培をすることができます。
④ 現在も続くチャレンジの日々。「毎年、1年生」
以上のように、自然栽培ならではの視点を持ちながら、日々自然栽培と向き合うハレトケスタッフ。
現在はどんな苦労と向き合っているのでしょうか?
・山根:私は去年までりんごしか作っていなかったんですけど。
今年ハレトケに加わってみて。本当に思います。野菜は大変です。
まず、前にかがんで仕事をするので。そこがしんどい(笑)
あとは、本当に虫がたくさん入るんだなって思いました。
にんじんやかぶの中に虫が入ってしまって商品にならなかったり。
●毛利:今年でいうとじゃがいもがボロボロで。
去年は豊作だったんですけど、今年は病気が広がってしまって。
収穫量がかなり落ち込んでしまいました。
去年と今年で全然違いますし、
植え付ける場所でも全然結果が違うんです。
●高桑:そうですね。今年のじゃがいもも、病気が出る条件ではなかったはずなんですよ。
だから、毎年こんなに病気になったことなかったじゃんとか。思うことばかりで。
自分の意思じゃどうしようもない。
木村先生もよく「毎年一年生だ」とおっしゃっていました。
プロとして作らなきゃいけない中で。
面白くもあり、つらくもあり、不思議でもある。
毎年毎年、違うことが次から次へとどんどん起こるような状況なんです。
△自然栽培さつまいも
======================
ここまでご覧いただき誠にありがとうございます。
自然栽培を実践することの苦労や大変さ。
こんなにも多くの試練があったのですね。
現在もたくさんの苦難を乗り越えながら、
栽培に励む自然ファームハレトケスタッフ。
<後編>では、彼らの自然栽培・農業への志に迫ります。
▼ ぜひご覧ください!
<後編>「美味しいに、こだわる」農家が語る!自然栽培の実態
△採れたて大野紅かぶ
旬と彩りを楽しむごちそう野菜セットはこちらから↓
書籍化、映画のヒットで有名となった「奇跡のリンゴ」木村秋則氏監修・自然栽培の仲間たち直営農場として、2015年秋にスタートしました。
そんな自然ファームハレトケのスタッフ3名が語る、
知られざる自然栽培の実態について聞きました。
~目次~
<前編>「毎年、1年生」農家が語る!自然栽培の実態
① 自然栽培との出会いは「あ、肥料なんてなくてもできるんだ。」
② 壮絶な1年目「全然できないじゃん。きっついなぁ・・・」
③ 自然栽培で変わった、虫や畑との向き合い方
④ 現在も続くチャレンジの日々。「毎年、1年生」
<後編>「美味しいに、こだわる」農家が語る!自然栽培の実態
①「うちの子がこんなに人参を食べている姿は見たことがないです。」
②ぜひ自然栽培の畑にきてください!
③安心安全は当たり前。美味しいにこだわる自然栽培
① 自然栽培との出会いは
「あ、肥料なんてなくてもできるんだ。」
<自然栽培の最初の印象>
「自然栽培」と聞くと、みなさんはどんなイメージを思い浮かべますか?
自然ファームハレトケスタッフにも、それぞれの最初の印象について聞きました!
●毛利:元々勤めていた会社の社長さんが木村秋則先生の塾の1期生で、偶然「自然栽培」というものを知りました。
僕が知った当時は今よりももっと、自然栽培をやられている方が少なくて。
流通もないし、他の栽培と味を比べることもできない。
なので最初は、本当に何もしない。ほったらかすってイメージでした。
そのイメージにそって、最初は自然栽培に挑戦しましたね。
●高桑:僕は当初国際協力のスタディツアーをきっかけに、タイで有機農業をしていました。
尊敬するタイ人の師匠が「福岡正信さんのわら一本の革命」という書籍が大好きで。
師匠に「なぜ、日本人で有機農業をしているのに、福岡正信さんを知らないんだ!」
といわれて、そこで初めて自然農法というものを知りましたね。
最初は「何もしないでできるんだったら、別にしなくていいじゃん」と。
わざわざ手間をかけて、農薬撒いて、耕して。それをしないで野菜ができるんだったら。
こんな楽な方法はないじゃないかって思ってました。
●山根:僕は「奇跡のリンゴ」の映画で自然栽培というものを知りましたね。
「あ、肥料なんてなくてもできるんだな。」
と思ったのが、最初の印象でした。
学校で植物のことを習った時は、
誰もが「水と、土と、お日様と、肥料」が必要だと教わっていたと思うんです。
それで肥料は必ず必要なものだと思っていたので。
「でも、そんなに美味しくないんだろうな・・・」とも正直最初は思っていましたね。
実際に自然栽培の作物を食べたこともなかったので。
△奇跡のリンゴ農家 木村秋則氏
② 壮絶な1年目
「全然できないじゃん。きっついなぁ・・・」
そんなイメージを持って挑んだ最初の自然栽培。
実際のところ、どうでしたか?
●山根:やりはじめて最初に思ったのが、
「全然できないじゃん!!」っていうことでした(笑)
「きっついなぁ・・・こんなのやだなぁ・・・」って。
僕は最初、りんご、お米、野菜の栽培を
9人のスタッフと共に始めました。
一番印象に残っているのは…キャベツですね。
…ほぼ全滅。
育っている途中に青虫がどんどん中に入って食べちゃってるから、中から腐っていくんです。
キャベツが腐った匂いって本当にすごくて…
すべて処分するのに畑の隅に穴をほったことを覚えています。とても辛かった。
それ以外にもあちこちの畑で、大きな失敗はたくさんあって。
いい思い出は正直一つもありません。
その年の売り上げは約10万円ほどだったと思います。
●毛利:僕も自然栽培だから、全く手をかけないってイメージで最初はつくったんですよ。
結果はまぁ、全然育たない。
とうもろこしは実が形にもならず。
トマトもちっちゃいのができましたね。
じゃがいもはなぜかできたりもして。
その当時は一般栽培もしていたときだったので、
比較するとやはり自然栽培って難しいんだなってかんじでした。
●高桑:
僕は木村先生の塾で最初の自然栽培を経験しました。
木村先生にくわの振り方から、トラクターの乗り方まで1から教えてもらいましたね。
最初の印象としては、「まあ、育たないなぁ」と。
タネはまいて、発芽はするけど成長がすぐに止まってしまう。
あと衝撃だったのは、クマが出たこととかですね。
「あともう少しで収穫だね!」といっていたとうもろこしが全部食べられてしまいました・・・
△自然栽培研修風景
③ 自然栽培で変わった、
虫や畑との向き合い方
そんな最初の苦難を経て、自然栽培の探求する日々。
その探求は実際、どのようなものなのでしょうか?
自然栽培農家さんの日々の思い、視点に迫ります!
<どんなところに気をつけて作物を育てていますか?>
●毛利:自然栽培では、より環境を原産国に近づける作業を意識したりしています。
例えば、ミニトマトでいえば、
苗を作って植えてから、収穫まで1〜2回くらいしか水をあげなかったり。
トマトの原産地は、南米のアンデスの高地。
きわめて雨の少ない地域ながら、清涼な気候であることも特徴です。
△ハレトケミニトマトの畑の様子
それに合わせて、水を切ったり、
ハウスの室温を調節したり。
トマトの様子を見ながら、環境を整えるお手伝いをしているんです。
木村先生も「大事なものは目に見えない」とよく仰っています。
病気が出たら、土の中に原因がある。
この中の目に見えないところの環境をいかに良くするかが大切ですね。
△農作業を行う毛利スタッフ
<畑ではどんな虫や動物を多く見かけますか?>
●山根:動物でいうと狐とかですかね。
虫でいえば、秋はコオロギをすごい見ます。
あとは、人参の葉っぱには、青虫とか。幼虫が葉っぱを食べちゃったりとか。
●高桑:そうですね。ようやく生えてきた双葉を切っちゃうヨトウムシとか。
カラスが来て、ミミズを食べに来たり。あとはネズミも。かぼちゃは食べる、さつまいもは食べる。どんどんかじっていきます(笑)
●毛利:去年はカエルも結構多かったですね。あと、クモも多かった!
どちらも作物に悪さはしないんですけど、単純にいっぱいいます。
僕が一般栽培をしていた時は、春先に土壌消毒しちゃうので。
虫とかは本当に少なかったです。
それに比べると、今の自然栽培の畑には、コオロギ、青虫やカエルなど、虫や動物がたくさんいると思います。
<虫や動物の対策、向き合い方について>
●山根:僕が管理している自然栽培の仲間たち直営りんご農場の【MIRACLE APPLE FARM】では、りんごの木についた虫はひたすら手でとる作業になります。一匹一匹、本当に地道な作業です。
△リンゴの木によく付く虫 <イラガ>
●毛利:作物の品種によってもつく虫が全然違いますよね。
例えば、野菜の中でも特にアブラナ科の野菜は、虫がつきやすいんです。
キャベツとか、ブロッコリーとか。
対策で言えば、※コンパニオンプランツをしたりもしますが。
例えば、トマトとバジルみたいな。野菜の間にハーブ類を植えると虫を防げたりします。
※互いに助け合って生育する、相性のよい植物同士を一緒に植えること
あとは対策というか、
あまりに虫がつきやすかったり、僕たちの畑の土地に合わないものはそもそも作りません。
●高桑:そうですね。基本的に私たちの畑では虫は放置しています。
それでどうしてもできない野菜は無理してやらないほうがいいんじゃないかなって思っているので。
そのためか、僕たちの畑の場合は、根菜が多かったりしますね。
いろんな野菜をつくってみたい気持ちはあるんですけど。
●毛利:野菜に虫がついている時、僕らもそれ見ると嫌だなって思う時はあります。
けれど、虫の中には益虫(えきちゅう)とか、害のない虫もいる。
そう考えると、「虫が来る環境の方が逆にいいのかな」とも思うんです。
私の場合は前職の一般栽培で、ハウスの中でも農薬をバンバンまいていたので。
自然栽培に出会ってからは、実際それをたべてもおいしくないし、人に勧められないなと思ったんですよね。
△畑にミミズを食べに来たカラスたち
<大豆(根粒菌)と自然栽培について>
自然栽培農家さんを訪れると、よく見かけるのがマメ科の植物。
このマメ科の植物を植える理由は、
一株抜けば現れる、根っこについた「たくさんの白い粒」
「根粒菌(こんりゅうきん)」の働きを栽培に利用しているからです。
根粒菌とは、「空気中の窒素を土中に取り込むことができる微生物」のこと。
マメ科の植物の根っこに白いコブを作り、その中で菌が暮らしています。
△こちらは、埼玉県「明石農園」さんで撮影した根粒菌
根粒菌は植物から糖分をもらい、
植物は根粒菌から窒素をもらう。
一般的な栽培なら、その栄養素を「肥料」で補いながら栽培をしますが、
自然栽培ではこの働きを生かして、大豆を植えて、畑の窒素分を保っている方が多くいらっしゃいます。
自然ファームハレトケの畑ではどのように根粒菌パワーを利用しているのでしょうか?
●山根:
他の自然栽培農家さんの場合は大豆を植えているところは多いですね。
けれどうちの畑は、大豆をそんなに植えてはいないんです。
もともと、土壌の性質として窒素が多いのかな?と思います。
●毛利:そうですね。大豆というよりは、
代わりに同じマメ科のクローバーとか。ソルゴとかは植えることがあります。
一旦マメ科の植物を育てて、すき込んで。
そうすると、土の質感が全然変わってくるんです。
クローバーもマメ科なので、根粒菌がついたりもしますよ。
●高桑:クローバーは大豆よりではあるんですけど、
成長した時に背丈がないので、畑のうねにも植えやすいんです。
最初は大豆を使わなきゃと思っていたんですけど、私たちの畑の場合、基本大豆では根粒菌がつきませんでした。
マメ科の中でもその土地に合うか、合わないか。違いがありますね。
△ハレトケで採れた大豆。
根粒菌は他の農園よりつきにくいものの、収穫物として美味しい大豆を栽培をすることができます。
④ 現在も続くチャレンジの日々。「毎年、1年生」
以上のように、自然栽培ならではの視点を持ちながら、日々自然栽培と向き合うハレトケスタッフ。
現在はどんな苦労と向き合っているのでしょうか?
・山根:私は去年までりんごしか作っていなかったんですけど。
今年ハレトケに加わってみて。本当に思います。野菜は大変です。
まず、前にかがんで仕事をするので。そこがしんどい(笑)
あとは、本当に虫がたくさん入るんだなって思いました。
にんじんやかぶの中に虫が入ってしまって商品にならなかったり。
●毛利:今年でいうとじゃがいもがボロボロで。
去年は豊作だったんですけど、今年は病気が広がってしまって。
収穫量がかなり落ち込んでしまいました。
去年と今年で全然違いますし、
植え付ける場所でも全然結果が違うんです。
●高桑:そうですね。今年のじゃがいもも、病気が出る条件ではなかったはずなんですよ。
だから、毎年こんなに病気になったことなかったじゃんとか。思うことばかりで。
自分の意思じゃどうしようもない。
木村先生もよく「毎年一年生だ」とおっしゃっていました。
プロとして作らなきゃいけない中で。
面白くもあり、つらくもあり、不思議でもある。
毎年毎年、違うことが次から次へとどんどん起こるような状況なんです。
△自然栽培さつまいも
======================
ここまでご覧いただき誠にありがとうございます。
自然栽培を実践することの苦労や大変さ。
こんなにも多くの試練があったのですね。
現在もたくさんの苦難を乗り越えながら、
栽培に励む自然ファームハレトケスタッフ。
<後編>では、彼らの自然栽培・農業への志に迫ります。
▼ ぜひご覧ください!
<後編>「美味しいに、こだわる」農家が語る!自然栽培の実態
△採れたて大野紅かぶ
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